0 0 2 和 洋 折 衷
街の少し外れに、大きな庭のあるY様邸はあります。
料理好きのご主人と、ナンタケットバスケット作りがご趣味の奥様、電車が大好きな息子さんの3人でお住まいです。
石畳は電車の敷石だったものを玄関までのアプローチに。
年季の入った石は家に趣を持たせています。
今回は、リビングにて奥様のお話をお伺いしました。初めて訪れた私でしたが、なぜだか落ち着くなぁと感じる空間でした。
情 緒 あ る 空 間
リビングから眺めるお庭には、レモンや梅などの、実のなる木が沢山あります。季節ごとに花や実によってお庭に色がつき、見る度に違う表情を見せます。リビングでは、学校から帰ってきた息子さんがお勉強や絵を描いたり、お夕飯を作るお母さんと今日の学校での出来事や友達とのいろんなお話をして時間を過ごされます。
お庭のいたる所にある灯篭は、ご主人のお爺様の代から長く受け継がれていて、長い年月をかけて生えた苔が情緒を漂わせています。一つ一つの配置にもこだわり、玄関までのアプローチは、まるで美術館のような趣です。
「和と洋がミックスされたものが好きなんです。」と奥様はおっしゃられます。モダンな中に障子や格子といった和の要素を含む建具が使われていたり、アーチの壁があったりと、両者がうまく取り入れられていて、とても新鮮で趣がある空間です。初めに落ち着くと感じた理由は、こういうところにあったのかもしれませんね。

そんなこだわりへの想いが強いY様。
だからこそ、設計途中の打合せでは自分の想いをうまく伝えることが難しかったのだそうです。どうしたら伝わるのか。思い通りになるのか。そこで、Y様は日ごろ読んでいる好きな本や雑誌の切抜き、お気に入りのDMなどのスクラップブックを設計者へ見せることにされました。すると、あと少し伝えきれなかった部分が、具体的な形となって表現され始めたのです。
時間をたっぷりかけて創り上げたプランは、中庭の位置から和室の小さな引手にまで神経が行き渡っていて、様々なところに目が惹きつけられます。
奥様のお気に入りの中庭が見える机も、巡り巡って現在のあるべきところへ来たのでしょう。
お住まいでの暮らしが始まってからは、息子さんのお友達がたくさん訪れるようになったり、以前なら休日ともなれば外出されていたご主人も、家を楽しみたいとご自宅で過ごす時間が増えられたそうです。週末には、庭でバーベキューを楽しまれ、Y様邸は沢山の笑顔に包まれています。

奥様のお話を伺っている中で、一つ気づいたことがありました。それは、奥様が素敵な巡り合わせを惹きつけていらっしゃるということです。
ナンタケットバスケット作りのきっかけは、購入したいと思っていらした際に、タイミングよく教室が開設されたのがきっかけで始められたのですから驚きです。細やかな編み目に可愛らしい形のナンタケットバスケットは、ひとつに対して4カ月ほどかかるのだそうです。
ゆっくりと時間をかけ、想いを込めた作品は、完成に近づくにつれ、ワクワク、ドキドキするもの。
それは家づくりと似ているところがあるような気がします。
Y様との出会いも、家を建てたいと思われていた時に、奥様が惹きつけてくださったご縁なのかもしれませんね。
温 故 知 新
人の手のぬくもりを感じられるものがお好きな奥様。
リビングにあるスタンドライトのボディは、奥様がお母様から譲り受けられた円筒形の陶器です。職人さん達が細かなでティールにこだわり、一つ一つ手作業で作られたもので、もともとは置物として作られたそれは、現在の技術で照明として新たに再生されました。
新しい息吹をまとった陶器は、リビング全体を包み込み、より心地のいい空間を演出しています。
まさに「古きを温ねて、新しきを知る」。Y様邸にふさわしい言葉だと思いました。
文・杉本
息子さんからお母さんへの贈りもの。
